ドローンの国家資格、機体認証について

目次

2022年12月から開始した国家資格について

2022年12月から国家資格になったドローン。飛ばすこと自体は資格がいりませんが、飛行する場所によっては飛行申請が必要になります。もし民間資格を持っていたら、その手続きが簡素化されます。また、知識やスキルを持っているという証明にもなるのです。

民間資格はどんな資格があるの?

民間資格の種類

民間資格は国土交通省が認定した資格がおすすめです。実際に飛行する際に許可申請に添付する際の証明となり、手続きを簡素化できます。現在存在する大体のスクールが国土交通省認定のようです。

JUIDA(ジュイダ)

JUIDAは一般社団法人日本UAS産業振興協議会の通称です。ドローン界隈では一番有名な民間資格なのではないでしょうか。2014年7月に設立されて以来、教育・市場創造・安全/企画・国際関連を中心にたくさんの活動に取り組まれています。世界を股にかけてドローンの人材育成や資格の認定に力を入れているため、安心して教育を受けることができます。

知識や技術を体系的に学びたいと言う方におすすめです。日本にも全国に認定スクールがあるので、自分の住んでいるエリアのスクールをみつけられますよ。⇨JUIDA認定スクール

JUIDAの民間資格には「無人航空機操縦技能」「無人航空機安全運航管理者」の2つがあります。

「無人航空機操縦技能」は座学と実技の後終了試験、「無人航空機安全運航管理者」は座学と座学の修了試験を終えると証明証が発酵されます。これらの証明証には期限があり、取得してから2年で失効します。

DPA(ディーパ)

DPAは一般社団法人 ドローン操縦士協会の通称です。ドローン航空の安全文化構築と、環境・衛生・人命救助・警備各分野とドローン航空の発展との融合・調和を図ることが経営理念で掲げられています。2017年6月から資格認定事業をスタートしています。操縦技術をしっかりと学びたいと言う方におすすめです。

こちらも全国にスクールがあるので、近隣のスクールを探すことができます。⇨DPA認定スクール

DPAの民間資格には「ドローン操縦士回転翼3級」「ドローン操縦士回転翼3級インストラクター」の2つがあります。

E-ラーニングで座学(安全運行管理基礎講座)を受講して、試験に合格するとライセンスがもらえます。こちらも2年で執行するので更新が必要になります。

ドローン検定協会

ドローン検定は、ドローン検定株式会社が運営しており、日本におけるドローンの健全な普及や操縦者のスキル証明を支援しています。1級から4級までの無人航空従事者試験があり、3級と4級は誰でも受験が可能です。2級は3級の免許を取得、1級は2級の免許を取得していないと試験が受けられません。自分で試験勉強をして試験の申し込みをすれば、指定の会場で試験を受けることができます。試験に合格すれば証明書が発行されます。この証明書を使用すれば、飛行する際に必要な国土交通省への許可承認申請時に証明書として添付できます。

ただ、ドローン検定に実技はありません。そのため、知識が取得しているけど、操縦技術がある証明にはなりません。ドローン検定に合格すれば、全国展開している「ドローン教習所」で座学1という4時間分の座学を免除できますので、実技講習を受けることがおすすめです。シミュレータ・実技訓練を受けて「ドローン操縦士養成講習(基礎技能講習)」を受講すれば、「ドローン操縦士」の資格がもらえます。国交省の飛行許可申請には10時間の飛行履歴を満たさなくてはなりませんので、必要操縦時間をクリアすることで、飛行申請の手間を簡略化することができます。

検定自体は自力での勉強となるため、コストパフォーマンスが良いのが特徴です。

DJI CAMP(ディージェーアイキャンプ)

ドローンメーカー最大手のDJI JAPAN株式会社が指定する民間資格で、DJI製品に特化したDJI JAPANオリジナル講習の受講ができるのが特徴です。DJI公認ドローン保険が割引になるなど、DJI商品を扱いたい人にはメリットがたくさんあります。2015年にDJI JAPANが設立し、現在はエアロカントリー株式会社が運営しています。こちらも全国にスクールを展開しています。

DJI CAMPスクール

「DJI CAMPスペシャリスト技能認定講習」と「DJI ZENMUSE L1基礎 オペレーター認定講習」が受けられます。「DJI CAMPスペシャリスト技能認定講習」10時間以上の飛行操縦経験がある操縦者で、DJI製品のユーザーマニュアルを事前に熟読し、実際のマルチコプター飛行業務に従事できる者限定になります。事前に教材をAmazonで購入する必要があります。座学、認定テスト、飛行技能テストを修了すると証明書が発行されます。「※DJI ZENMUSE L1基礎 オペレーター認定講習」はDJI ENTERPRISE製品を現場で取り扱うための一連の流れや操作を学習できます。

※DJI ZENMUSE L1とは・・・無人航空機に取り付けたレーザースキャナー(測量装置)を用いて、地形形状を計測するシステムで、空からの計測で樹木下の地形までを詳細に捉えることができます。

上記のような民間資格がありますが、この他にもまだまだたくさんの種類があります。自分に合った目的や勉強のスタイルを見つけて資格を取得するのがベストです。

民間資格を持っているなら、国家資格の講習の値段が割引されたりとメリットもあります。今後も民間資格は並行して活用できるようなので、自分に合った目的や勉強のスタイルを見つけて資格を取得するのがベストです。二級と民間資格が同等レベルなので、これから新しく資格を取ろうとされている方は、国家資格の方がビシネス面では活用しやすいかも。。。そこそこ値段もしますので、お財布と相談しながら選んでみてください。

国家資格になったら何が変わるの?

国家資格について

ドローンは2022年12月より国家資格となりました。変更となったのは以下の2つです。

①一等資格でレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が可能となる
②機体認証が必要となる

まずはドローン国家資格について説明します。

ドローンの国家資格は一等無人航空機操縦士(一等資格)と二等無人航空機操縦士(二等資格)の二種類があります。

無人航空機操縦者技能証明制度の概要

・技能証明は、一等無人航空機操縦士(一等資格)及び二等無人航空機操縦士(二等資格)に区分
・一等資格、二等資格ともに有効期間は3年間
・限定変更を行うことで、夜間飛行、目視外飛行が可能に
・対象年齢は16歳以上
・技能証明の試験は、国が指定する指定試験機関である日本海事協会が実施
・国の登録を受けた講習機関(登録講習機関)の講習を修了した場合は、実地試験を免除

一等無人航空機操縦士(一等資格)と二等無人航空機操縦士(二等資格)の違い

まず一等無人航空機操縦士(一等資格)レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)ができるようになる点が二等資格や民間資格との最大の違いです。

レベル4って何?と疑問が出てくるかと思います。ドローンの飛行は以下の4つのレベルに分かれるんです。

ドローンの飛行形態

・レベル1:目視内での手動操縦飛行
・レベル2:目視内での自動/自立飛行
・レベル3:無人地帯における(補助者なし)目視外飛行
・レベル4:有人地帯における(補助者なし)目視外飛行

目視外飛行とは文字通りドローンが直接目で確認できない状態で飛行するという意味です。ちなみに携帯やプロポのマップを見ながら飛行するのも目視外飛行に該当します。

元々民間資格もレベル3までは許可申請をすれば飛行可能でした。離島などにおけるドローン配送の実証実験などはレベル3の飛行に該当します。

一等無人航空機操縦士(一等資格)はレベル1〜4全ての飛行が可能です。そうなると、、、

「え?一等は許可がなくてもどこでも飛んでいいの??」と思われる方もいるかもしれません。確かに有人地帯における目視外飛行が可能となりますが、闇雲にどこでも飛行して良いわけではありません。基本的には一等資格におけるレベル4は配送事業を目的とした飛行です。配送物をドローンにて運ぶ場合には民家や施設、道路の上などを飛行しなければなりません。その際に全ての飛行ルートに毎回許可を取ることは困難なため、そういった場合にこのレベル4の飛行形態が適用されます。

また、レベル4の飛行や一部申請が免除となるのは、機体認証を受けている場合に限ります。まずは自分が持っているドローンの機体認証を受ける必要があります。

安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行・・・

第三者の上空を飛行しない(立ち入り管理を講じる)こととされています。

安全確保措置等の個別に確認が必要な飛行(空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、物件投下等)・・・

一等の資格を持っていても許可申請が必要です。

一等無人航空機操縦士(一等資格)のポイント

①機体認証を受けていればレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)ができるようになる
 ⇨立ち入り管理措置なしで有人地帯での上空を目視外飛行できる
②「安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行」の申請が不要
③空港周辺、高度150m以上、イベント上空、危険物輸送、物件投下、最大離陸重量25kg以上は飛行申請が必要

二等無人航空機操縦士(二等資格)のポイントは、安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行の申請が不要
(人口集中地区、夜間、無人地帯での目視外、人や物件との距離30m未満)となる点です。一等資格で説明した内容と同じですね。民間資格と二級の最大の違いはこの安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行の申請が不要となる点です。ただ、申請が免除となる場合は機体認証が必要となります。

二等無人航空機操縦士(二等資格)のポイント

①機体認証を受けていれば「安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行」の申請が不要
 ⇨人・物件との距離30m以内、夜間飛行、目視外飛行、人口集中地区上空
②空港周辺、高度150m以上、イベント上空、危険物輸送、物件投下、最大離陸重量25kg以上は飛行申請が必要

無人航空機の飛行形態は、リスクに応じて3つのカテゴリー(リスクの高いものからカテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ)に分類されます。該当するカテゴリーに応じて手続きの要否が異なります。

カテゴリーⅠ・・・特定飛行に該当しない飛行。航空法上の飛行許可・承認手続きは不要。

カテゴリーⅡ・・・特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において※立入管理措置を講じたうえで行う飛行。(=第三者の上空を飛行しない)

カテゴリーⅢ・・・特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において※立入管理措置を講じないで行う飛行。(=第三者の上空で特定飛行を行う)

※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者)の立入りを制限することです。機体認証及び操縦者技能証明の取得により、カテゴリーⅡ飛行のうち一部の飛行許可・承認手続が不要になる場合があります。

以下の国土交通省が出しているフローチャートで該当するカテゴリーがわかります。上記の一等・二等資格で説明した、「安全確保措置等の個別に確認が必要ない飛行」「安全確保措置等の個別に確認が必要な飛行」についてはこのチャートを見るとわかりやすいです。

引用:国土交通省

機体認証について

資格の説明で度々この名称が出てきましたが、機体認証について説明します。

機体認証とは、「特定飛行を行うことを目的とする無人航空機の強度、構造及び性能について、設計、製造過程及び現状が安全基準に適合するか検査し、安全性を確保するための認証制度」です。

詳しくは国土交通省が表を作成しています。

出典:国土交通省

うーん。一度では理解できない。。。

ですので、別途詳細を説明します。

型式認証と機体認証

機体認証には第一種機体認証と第二種機体認証、第一種型式認証と第二種型式認証に分かれます。

型式認証は量産型のドローンの型に対応する検査であり、機体認証は各ドローン個別に必要な検査です。

簡単にいうと、「型式認証はメーカーに向けて」、「機体認証はユーザーに向けて」行われる検査と言えます。

型式認証は、同じ仕様で量産し販売する場合、メーカーが代表して国や登録機関より型式認証書交付を受けることができます。そのため、ユーザーによる手続きは省略されます。

ドローンを操縦する人は、そのドローンが量産型で型式認証を受けているのであれば、機体認証のみを受ける必要があります。また、型式認証を受けていれば、条件に応じて機体認証の検査を一部又は全部省略できます(申請は必要です)。

第一種型式認証:第一種機体認証に係る検査の一部を省略できる

第二種型式認証:第二種機体認証に係わる検査の全部、又は一部を省略できる

機体認証は第一種機体認証・第二種機体認証 、型式認証は第一種型式認証・第二種型式認証とそれぞれ二種類あります。

第一種機体認証とは、カテゴリーⅢの飛行形態に対応し、検査期間は国が行います。つまりレベル4の飛行をする場合に必要となります。レベル3以下は機体認証は任意です。有効期限は1年です。

第二種機体認証とはカテゴリーⅡの飛行形態に対応し、検査期間は登録検査機関が行います。この認証登録を行った上で、二級無人航空機操縦士を取得すれば、夜間飛行・対人対物の距離が30m未満・人口集中地区・目視外飛行などが、許可・承認手続き無しで操縦できるようになります。レベル4の飛行はできません。有効期限は3年です。

分かりづらいので表にしてみました

検査に合格し、全ての手続きが完了した後、機体認証書が発行されます。車検のように有効期限が過ぎたら再度認証を受ける必要があります。

ただこの機体認証、現時点では登録できる機体がないのが現状です。なぜならメーカー側で型式認証が行われていない場合がほとんどだからです。個別で登録はできますがなかなかな費用がかかってしまいます。これから整っていく部分かと思われます。

二級の国家資格を受けている場合、本来は型式認証、機体認証を受けた機体であれば機体認証を受けていなくても包括申請を行えば同様の飛行は可能なので、現時点では包括申請をする方がベストかもしれません。

国家資格を持っていると箔はつくのですが、現時点では型式認証が浸透していない分あまり民間資格と相違がないかもしれません。これからさらに法整備され、ドローンが日常化することで意味のある資格になるかも。。。

・メーカーが型式認証をした製品を販売して、ドローン操縦者が機体認証をする
・機体認証を受けたドローンでかつ1級小型無人機操縦士または2級小型無人機操縦士を取得していれば許可申請が一部免除になる
・現在(2023年時点)販売しているドローンで型式認証をしている製品はほとんどない。型式認証を受けていない機体認証は申請の行程も多く費用が高い

まとめ

民間資格と国家資格、型式認証・機体認証・・・色々と制度を知った上でドローンを扱う必要がありそうですね。飛行のルールを知っておくことは自分の身を衞るためにも、また、参加している方の安全を図るためにも大切なことです。やや入り組んで一度では理解できない部分もあるかと思いますので、また用語が出てきた際はリンク付けや追加で説明していけたらいいなと思っています。

次回は機体登録とリモートIDについて説明します。

ルールを守って楽しい飛行ができるように一緒に勉強していきましょう♪

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この記事を書いた人

フォトグラファー兼WEBデザイナーです。ドローンを使った撮影をしています。ドローンの基礎知識から発展編まで解説いたします。

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